冬林檎切って新しい言葉

 

卵焼き昨日と違う冬の窓

 

いないいないばあふわっふわのセーター

 

水仙の香り時々止まるバス

 

母の待つところてんてん雪の穴

   

  つじあきこ  写真 あきこ

               昭和の絵本より

          

 

 

        


冬銀河紙飛行機がただよへる

 

勤行の背をまるうして雪暮らし

 

立ちんぼの水鳥たちとワタクシと

 

鰭を干す魚屋の二階冬日射す

 

ヘアカラーGM8番年用意

 

辻 水音

クローゼットにダウンコートの真珠色

 

暖炉燃ゆ花札の角擦れてゐる

 

冬天や今を散りゆく葉の震へ

 

裸木に星の瞬く日は来ぬか

 

祭壇にキャンドルの星寒波来る

 

はしもと風里


 

 

冬青空映して池の静もれる

 

陣取りに負けてごろすけほうほうほ

 

小春日のゴリラ「ゲンキ」の背の孤独

 

冬晴れを歩いて昏くなるわたし

 

煤逃げのひとりで並ぶラーメン屋

 

波戸辺のばら

           写真 のばら


綿虫の飛び方今度真似しよう

 

ラジオとの絆深まる風邪の夜

 

女同士ってやっぱりいいね枇杷の花

 

笑うたび唇切れる去年今年

 

長椅子の真ん中座る初電車

   

   林田麻裕

冬銀河へ0(ゼロ)番線の発車ベル

 

冬天の高きを知らず駝鳥たち

 

毛糸帽今日の私ができあがる

 

冬晴るるふるさとの鍵持ち歩く

 

ダンス部の少女散れ舞え屈め・雪

 

   火箱ひろ


 

 

小走りにおとふ屋さん追ふ夕時雨

 

夢のかけら掬うて投げて枯木星

 

ぐつすりと母ぐつしよりと敷毛布

 

たいせつに記憶はぐくみ冬深む

 

新しき本のにほひを嗅ぐ小春

 

松井季湖

     写真俳句 季湖


京ことばのようにほうじ茶湯気立てて

 

湯豆腐におかかと感謝ふうわりと

 

初雪は風花としてきらりきらり
(季湖さんの影絵に)
きつねの影絵くらりとゆれて冬日向

 

やわらかな影たちの住む冬の庭

 

    おーたえつこ

記入欄空欄ばかり冬の乱

 

日記買う五年十年いや三年

 

アレ!オレは枯蟷螂になったのか

 

ケンちゃんはヨセフじゃなくてマリア役

 

年用意救急箱に陀羅尼助

 

   たかはしすなお